よくある質問
出願時に必要なものは何ですか。
それぞれ、以下の書類や情報が必要です。
特許協力条約 (PCT) に基づく国際出願の国内移行 (優先日から 31 カ月以内)
- PCT 国際出願番号 (それ以外の情報は WIPO から入手可能)
- 国際出願の英訳文 (国際段階において提出された補正を含みます)
パリ条約に基づく優先権の主張を伴う出願
- 出願人の氏名および住所
- 発明者の氏名
- 英文明細書
- 基礎出願の出願番号・出願日・出願国 (複数ある場合はすべて)
出願後に必要になるものはありますか。
-
オーストラリアでは、出願案件が許可になるまでに、Notice of Entitlement (出願人が特許を受ける権利を有する旨を証明する書類) を提出する必要があります。出願から数週間後、出願番号が割り振られた後に、適宜に準備・提出します。
また、優先日が問題となる場合、審査または異議申立手続きの期間中に審査官から優先権証明書とその英訳文が求められる場合があります。出願人にはこれらの書類を提出するための妥当な期限が設定されます。
-
イノベーション特許 (Innovation Patent) とは何ですか。
-
オーストラリアには、標準特許に加え、イノベーション特許という制度があります。日本の実用新案に類似していますが、保護対象と特許要件が異なります。イノベーション特許では、方法や化合物、ソフトウェアやビジネス手法など、広範囲の対象を保護することが可能です。特許要件は通常の特許とほぼ同じですが、進歩性 (inventive step) の代わりにイノベーティブ・ステップ (innovative step) が求められます。イノベーティブ・ステップは進歩性よりも判断基準が低く、先行技術と比較して発明の実施に実質的な相違点があれば基準を満たすとされます。
なお、イノベーション特許では、独立クレーム 1 つを含む、合計 5 クレームまでしか記載できません。特許存続期間は 8 年で、実体審査が行われることなく登録になります。ただし、権利行使をするためには、実体審査を行い、「証明 (certified)」される必要があります。
PCT ルートの場合、PCT 国際出願から直接イノベーション特許出願としてオーストラリアの国内段階に移行することはできず、一旦国内段階に進み、標準特許出願からイノベーション特許出願へ変更することになります。
-
グレースピリオドはありますか。
あります。発明者や出願人自身によって (または発明者や出願人の同意を得て) 公然の実施や文献の公開が行われた場合、一定の条件のもとで、12 カ月のグレースピリオドが適用され、自己の発明が新規性を失う理由にはなりません。つまり、パリ条約ルートのオーストラリア出願やオーストラリア移行予定の PCT 国際出願は、最初の公然実施の開始から 12 カ月以内に出願する必要があります。なお、グレースピリオドの利用は緊急事態に限ることを推奨します。
また、オーストラリアには出願人に有利な規定があり、出願人や弁理士による誤記や欠落がある場合、修正を行うために必要な期間の延長が認められます。万が一、重要な期限を逃してしまったときも同様です。
-
オーストラリアにおける新規性はどのようなものですか。
-
2002 年 4 月 1 日以降のオーストラリア特許出願には、絶対的新規性 (absolute novelty) が求められます。上記グレースピリオドにより除外される自己の公開を除いては、出願日より前に国内外において文献または実施によって公衆に利用可能となった発明には特許付与されません。
また、優先日より前に出願され、かかる優先日より後に公開されたオーストラリア出願もしくは移行予定の PCT 国際出願に関する場合、進歩性ではなく、新規性による拒絶になります (whole of contents による新規性拒絶)。
なお、複数の引用文献を組み合わせて新規性違反として拒絶するためには、各文献の間に明白な相互参照 (cross-reference) 、あるいはその組み合わせについての示唆や動機の存在が必要です。
進歩性による拒絶の場合は、各文献が当業者によって発見され (ascertained)、理解され (understood)、関連するものとして考慮された (regarded as relevant) であろうことが合理的に想定され得たことを示す必要があります。なお、近いうちに法改正が予定されており、改正後は、当業者によって理解され (understood)、関連するものとして考慮された (regarded as relevant) ことを示すことができれば先行技術として認められるようになります。
-
特許発明の対象にはどんなものがありますか。
-
オーストラリアは保護対象が広く、以下の対象も含まれます。
- 治療方法
- スイス式クレーム
- ソフトウェアおよびビジネス手法
- プロダクト・バイ・プロセス・クレーム (製造方法によって生産物を特定するクレーム)
なお、人間およびその生成に関する生物学的方法は保護対象からは除外されています。
主な期限にはどのようなものがありますか。
まず、出願人は出願日から 5 年以内に審査請求をする必要があります。ただ、特許庁は出願人に対し審査請求を促す指令を出すことができ、実際の業務では、出願から 1~2 年以内に指令が発行されます。その場合、出願人は指令日から 6 カ月以内に審査請求をしなければなりません。
審査報告書の発行後は、2 つの期限に注意する必要があります。1 つ目の期限は審査報告書の発行日から 12 カ月で、その間であれば無料で応答や補正ができます。最終的な期限は 21 カ月で、それまでに正式に受理されない (許可にならない) 場合は無効となります。
なお、21 カ月以内に受理されなかった場合は、出願の係属を維持するために、分割出願 (継続出願) を行うことも可能です。
審査請求指令が発行される前に審査を請求することはできますか。
-
はい、審査請求指令が発行される前に任意で審査請求を行うことが可能です。また、早期審査を要請することもできます。
-
どのような場合に、修正審査 (Modified Examination) の請求ができますか。
-
オーストラリア出願の対応外国出願が、米国、欧州特許条約締約国、カナダ、またはニュージーランドにおいて、英語にて出願され、特許付与されている場合に限り、その特許の内容と同一になるように補正することで修正審査を請求することができます。
要請がない限り、親特許の謄本は不要です。また、修正審査を望んでいる場合、前述の対応外国出願における特許付与を予想して審査請求指令の発行日から 6 カ月の期間をさらに 9 カ月延長し、付与されなかった場合は通常の審査請求を行うことも可能です。
また、受理前であればいつでも、修正審査請求から通常の審査請求に変更することができます。ただし、通常の審査請求から修正審査請求への変更は、実体審査が開始される前でなければなりません。
-
修正審査のメリット
- 出願処理が、より迅速かつスムーズに進みます
- 独立クレームが多い場合も、発明の単一性違反の拒絶を受けることがありません
- 付与された対応外国特許が不適切であると審査官が判断しない限り、通常は調査が行われません
- オーストラリアの進歩性の判断基準は米国等より低いため、発明の範囲が必要以上に狭くなってしまう可能性があります
- クレームに機能的な表現を用いることができるオーストラリア特許法のメリットを活かすことができなくなります
- 修正審査においても、新規性および進歩性について拒絶される可能性があります
- もしクレームが拒絶された場合、採りうる選択肢は、反論もしくはクレームの削除しかありません (クレームを補正する場合は、通常審査請求へ変更する必要があります)
修正審査のデメリット
-
オーストラリアでは情報開示義務はありますか。
ありません。情報開示義務は 2007 年 10 月に撤廃されました。ただ、外国特許庁による調査結果や引例文献を開示する必要はありませんが、クレームが無効であることを認識していながら適切な期間内に補正しなかった場合、訴訟段階で特許を有効にするために補正しようとしても、それができない可能性があります。
できるだけ早く権利化する必要がある場合、どのような方法がありますか。
早期権利化を望む場合、出願後すぐに審査請求を行い、それと同時に早期審査の請求を行うことをお勧めします。その時点で対応外国出願が英語にて出願され、特許付与されている場合は、その写しも提出します。付与された内容にあわせてクレームの補正をするか、もし別のクレームが適切である場合にはその理由を説明します。

